IT経営実践事例集

経営戦略・経営改革・業務改革を実践し、
IT経営を実現した事例を紹介します。

「地場産業を復活!生き残り戦略」情熱あふれる三代目の挑戦

■「このままでは生き残れない!」
伝統的な地場産業は、一般的に現在でも職人気質や古いしきたりを根深く残し、なかな か体質改善ができないといった悩みを抱えている。窯業(製陶業)もこの例にもれず、外部環境が大きく変化しているにもかかわらず、あいかわらず旧態依然の生産方式や販売経路に固執、自らの頭で考えた戦略的経営や経営改革に着手できないでいる。
 「このままでは生き残れない!」三代目を引き継ぐ若き専務の悲痛な叫び声、「縁あってこの業界にお世話になるのだから、力の限りを尽くして我が社を改革したい。何としてもV字回復を果たしたい!」情熱あふれる専務の言葉に心を動かされ、経営改革によるV字回復が成功するまで、命がけのお付き合いをさせていただくこととなった。


■生き残り戦略の立案
 「この事業部門は、トップシェアを維持しているのに、なぜ赤字になってしまうのだろう?」赤字事業部門の経営戦略コンサルティングの開始である。外部環境の調査と解析、内部環境分析のために事業組織のキーマンから3ヶ月に亘る粘り強いヒヤリング調査を進め、経営戦略を立案した。
1.優良顧客を選別し経営資源を集中する<選択と集中戦略>
  ・多数の競合各社が存在する価格競争市場からの撤退
  ・適正価格が維持できる顧客を選別し、価格以外の付加価値を提案
  ・優良顧客向け商品の徹底的原価低減と品質保証、歩留まり向上
  ・収益性評価のための正確な原価の把握
2.多品種・小ロット・短納期商品に特化し競合他社と差別化する<差別化戦略>
  ・収益性が確保できる多品種・小ロット品目の生産が得意な企業になる
  ・多品種・小ロット・短納期であっても高生産性が確保できる生産ラインの構築
3.経営戦略に基づく組織的企業活動・事業マネジメント体制の構築<組織化戦略>
  ・幹部人材の育成と意識改革のための幹部マネジメント研修の実施
  ・全社的経営改革を実施する個別プロジェクトチームの設置   ・IT活用による業務改革の実施、業務効率の向上
  ・経営戦略を実現する新基幹業務システムの導入


■「幹部社員マネジメント研修」の実施
経営改革は、どんな企業でも現場の力をどれだけ引き出せるかにかかっている。そのためには、何よりもまず幹部社員の意識改革が重要となる。
名古屋ソフトウェアセンターでは、幹部社員の意識改革・経営感覚を即効的に高める「幹部マネジメント研修・経営改革企画体験プログラム」がある。その特徴は・・
 @マネジメントシステムの基本と実践能力が短期間に習得できるカリキュラム
 Aコンサルティング対象企業の経営課題や研修を受ける幹部社員の成熟度に応じてカリキュラムを最適化
 B研修の進行とともに効果のモニタリングを行い、その評価から次回のカリキュラムを逐次変更
 C座学ではなく、すべてのセッションがグループ討議により課題解決を実体験するグループコンセンサス方式

 幹部社員の意識改革が第一とするコンサルタントの提案に専務が即時同意、25名の幹部社員が土曜日5日間を使って熱心な研修が行われ、大きな成果を上げることができた。


■経営改革の実践「6つのプロジェクトチーム」
経営改革の実践は、現場のキーマンをリーダーとし、現場実務家をメンバーとした「6つのプロジェクトチーム」とし、マネジメント研修終了と同時に発足した。マネジメントシステムの定着には、研修終了後、間髪を入れずに実践組織を構成することがコツである。
1. 営業収益改善プロジェクト
2. 製造コストダウンプロジェクト
3. 購買コストダウンプロジェクト
4. 多品種小ロットプロジェクト
5. 品質クレーム撲滅プロジェクト
6. IT戦略プロジェクト

 それぞれのプロジェクトは、CSF(重要成功要因:Critical Success Factor)KGI(重要目標達成指標:Key Goal Indicators)CMF(主要マネジメント要件:Critical Management Factor)KPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicators)を設定し、マネジメントシステムとして運営されている。CSFは、このプロジェクトの成否を決定する重要な施策で、目標値KGIがゴールとなる数値である。各CSFはアクションプラン(実施項目)CMFを実践することで達成される。CMFに示される各項目は、プロジェクト活動でマネジメント(PDCAサイクルをまわすこと)され、成果を評価する指標としてKPIが設定される。特に重要なのがKPIで、経常活動で常にKPIを管理することで自動的にKGIが達成されるシステムである。このシステムによってプロジェクト成功の可能性が飛躍的に高まる。



■がんばれ!三代目!

改革は困難に立ち向かうロマンである。経営者は、どんな困難に遭遇しようとも「かならず成功する!」という信念を貫き通す覚悟をしなければならない。改革にはかならず抵抗勢力が存在し、経営者の力量が試される。この勢力が大きいほど迎合したくなるが、これでは経営改革は実現できない。時には、自分の信念の実現にどうしても協力できない勢力は、つらいことではあるが「泣いて馬謖を斬る」ことも必要となる。  当社の経営改革は、まだ緒についたばかりであり、幾多の困難が待ち構えているにちがいない。若き専務の情熱で成功するまでがんばって、何としても地場産業の復活を果たしてもらいたい。


「とにかく人材の育成が急務だよ!」辣腕スーパー社長

「社長の思いを社員にしっかり伝えよう!」自信を持った三代目社長

「我が社のピカ一技術は何だ!」得意技を企業ブランドまで高めた苦労人社長

「地場産業を復活!生き残り戦略」情熱あふれる三代目の挑戦