IT経営実践事例集

経営戦略・経営改革・業務改革を実践し、
IT経営を実現した事例を紹介します。

「とにかく人材の育成が急務だよ!」辣腕スーパー社長

■きっかけはオフコンのリプレース
「そろそろオフコンのリースアップが近づいたので、一度アドバイスをお願いしたい・・」2年も前にITSSP事業(計画書策定コンサルティング)の紹介で、ほんの1時間ばかりお邪魔した年商50億円規模の中堅商社の常務から突然の電話です。よく覚えていていただいたなあ、ありがたい!とばかり直ちにITコンサルテーションの営業に駆けつけた。

■辣腕スーパー社長の明確な要求
 「我が社は、とにかく人材の育成が急務だよ!それを念頭に置いてよい提案をお願いしたい。」一代で会社を現在の地位まで築き上げた60代の辣腕スーパー社長は、情報化のコンサル案件の商談とばかり思い込んでおとずれた私たちITコーディネータに、いきなり幹部社員の人材育成を主眼にした提案依頼です。
 確かに私たちITコーディネータは、日々の中堅・中小企業のコンサルテーションで、クライアント企業に対してかならず人材育成の重要性、IT系ソリューションの導入とともに人間系の改革が最も重要といった助言を行っていますし、BSC(バランス・スコアカード)の戦略マップの提案でも、企業発展の基盤となる人材育成戦略を提案していますが、社長から明確に幹部の人材育成に対する提案を要求されたのは初めての経験でした。


■辣腕スーパー社長の真意は?
 社長インタビューを整理してみると以下のような内容でした。
・ 商社はとにかく人で決まる
・ メーカーやサービス業のように独自の売り物があるわけではない
・ 今までは築き上げた強力な社長の人脈とトップ営業で会社を伸ばしてきたが、これからはそうは行かない
・ 特にメインの大手顧客、大手仕入先の大変化(合併や統合による業界再編)に対応するには、新しい営業体制を構築しなければ生き残れない
・ 役員、幹部社員、営業担当、業務担当の全社員が、業界変化に対する危機感や自分から進んで仕事に取り組んでいく意欲をもたなければならない
・ しかし、なかなか育ってくれない
・ 社長は、ここ数年に亘り優秀な新卒社員を計画的に採用してきている
・ これによって有力大学卒の新卒社員が徐々に増えてきているが、幹部社員(勤続の長い先輩社員)は相変わらず指示待ちの姿勢が目立つ
・ でも、社長がみずから選んで入社してもらった社員ばかりなので、何とか全員が育って欲しい、貢献してほしい
・ どんな社員でもかならずいいところがあるから、そのいいところを引き出していきたい
・ 何があっても会社の都合だけで解雇をしない


■さあ、困ったぞ?
 私たちは、第三セクター・名古屋ソフトウェアセンターのNSC−ITCC(ITコーディネータ・センター)に所属し、コンサル案件ごとに複数のITコーディネータがチームを構成して組織的なコンサルテーション活動を展開しています。経営戦略策定、戦略情報化、情報システム構築に関するコンサルテーションについては実績があり、リファレンスやテンプレートも充実して自信もありますが、企業の幹部教育についてのソリューションがなく、さあ、困ったことになりました。
 社長インタビューによって、その真意を理解するとともに、すばらしい経営理念に触れ、この社長のファンになってしまったので、何とか大好きになってしまった辣腕スーパー社長のお役に立ちたいという使命感が芽生えました。


■マネジメント研修プログラム
 「なければ開発しよう!」苦心に苦心を重ね、ついに辣腕スーパー社長の要求に応える幹部社員育成のためのマネジメント研修プログラムが完成しました。まさに必要は発明の母です。
・ マネジメント研修の目的
@ 危機感・意欲を持ち、経営センスを身につける
A 経営課題・業務課題に気づき、解決する提案能力
B 仕事に使命感を持ち、自ら仕事を創造する自立した社員の育成
・マネジメント研修の特徴
@ 対象企業の事情にあわせたカリキュラム(企業の成熟度・経営課題に対応させること)
A グループ・コンセンサス方式により、研修生の自発性を最大限引き出す仕組み
B 研修内容は会社の業務そのものを課題としそれを解決することで、研修後にそのまま業務の中に研修成果を定着させることができる


■そして、成果は?
 実際のコンサルテーションでは、経営戦略に基づいた情報化計画によってオフコンからオープン系システムの導入とともに、幹部社員のマネジメント研修を並行して実施し、社員は自発的に改善・改革活動を推進し始め定着しつつあり、社員の活性化を図るという大きな成果を得ることができた。
 まだまだ、社長の満足を得るところまでいたっていないが、この会社の人材基盤は確実に進歩し始めている。ITコーディネータとして、この辣腕スーパー社長の人材育成理念は、そのまま多くの中小企業経営者に自信を持って助言できる一件となった。



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